日本とアメリカの経済スタンス
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 良く、マネーゲームとして取り上げられるのが株の売買や先物取引だ。
そもそも、会社が株式の上場に参入する事に意味はあるのだろうか。
私は、企業のネームバリューを広げる以外にメリットは無いのではないかと思う。

 例えば、株を公開して会社が利益を得たとする。
この利益分は必要経費などを除いて株主に還元される訳であって、会社の経費や社員に還元されるのではない。
一つ、見方を変えて株の公開を「借り入れ」としてだけ考えると悪い話では無いかもしれない。
しかしそれを望めるのは2〜3人位の小さな会社くらいしか出来ない上にリスクが非常に高い。
日本が敗戦して50年以上が過ぎ、未だアメリカ式が全て良い様な捉え方で進めている企業が多い様に見受ける。
とある企業の社長が書いてベストセラーになった著書の中に、「株式公開をするくらいなら
自社社員の為に利益金を還元する」「間違った事をすると必ず失敗する」という文面を見て、私は成る程と感じた。
同じく、某テレビ通販で有名になった社長も今までの苦労があってか、社員に対して尽くすというキーワードがある。
又、今は亡き私の祖母も社員に対しての配慮がしっかりしていた事を子供ながらに感じていた事がある。
資本主義である以上、ビジネススタンスとしてアメリカの経済学を取り入れるのは悪い話では無い。
同じ様に雇用に関する考え方も同じだ。
アメリカの労働雇用や職務体制自体が機械的な物であって決して人間的な物ではない。
例えば仕事が出来るか出来ないかの判断はYESかNOの二つだけだ。
工場ならどれだけ努力をしたかではなく、結果主義の業績評価で全て機械的に判断を行う。
何があっても勤務時間内で仕事は打ち切ってしまう。
それが例え、閉店の5分前にソフトクリームを注文した時、日本なら直ぐに用意をするが
アメリカならNOと答えて売ることはしない。
良くアメリカは実力主義で、できない人間は直ぐに首になるというイメージがある。
但し、実際にはこれがリストラと呼ばれる物ではない。

アメリカでいうリストラは明確な解雇ではなく、職務待機を指す場合が多い。
これは特にアメリカの工場に多いパターンで、工場の稼働形態やその年の利益率によって
人員削減を行わなければならない時、企業は再建策の一つとして職務待機を出す。
工場労働者を教育させるコストや人材を新たに募集するコストを考えると、
解雇そのものは企業にとってメリットが無いからだ。
例えば、受発注の関係で工場の稼働率が昨年より60%まで抑えなければ赤字になるとすると、
労働者の40%を職務待機させ、工場稼働率が上昇した時、以前に職務待機させた者を優先的に再雇用する訳だ。
無論、労働者は待機中に給与は出ないが、多くの現場で経験をしていれば再就職に困る事はない。
例えに語弊があるが、日本なら派遣に相当する様な物だ。

 日本では一般的に認識されるリストラという手法には風土として合わないと感じる。
これは元来、日本が天皇を軸にして主従の歴史を作って来たからの様にも感じられる。
又、今問題になっているのは工場の技術力衰退だ。
企業がリストラを行った事によって、現実的には有能な人間は海外や別の企業に転職し、
結果として会社組織の上層部に部下を取り纏められない人間が残るから悪循環を繰り返す。
不景気と称して、リストラして教育を行わなかった企業が技術力を保守できずに苦しんでいる上、
働き盛りの30代前後の人間が学校を卒業しても技術力の要らない仕事についていたパターンが
多い為に、どういった技術力を持っているという物を示す事が難しい人材が出て来ている。
この文章を書いている、私自身もその中の一人だ。
仕事は技術力が全てではない、ヒューマンスキルや理論的に考えて、自分が何をすべきを考えて提案の
出来る人間でなければならないし、技術力が無くても待遇や仕事を選ばなければそれなりの仕事はある。
しかし、日本経済を活性化させる為には技術力の保守と更なる向上が無ければ企業の発展も、経済活性も望めない。

 ここ10年くらいの間に急成長を遂げた企業は「派遣業者」「質屋」「リサイクルショップ」「信販」
といったものが並ぶ。
100円ショップも、商品を作っているのは倒産寸前の町工場や仕事の無い者が在宅ワークといった形で
数銭単位の単価で納品をしているとも聞く。
これらの企業はどれも、簡単に一括りをすると確実に利益単価を得る事が出来る、又はサービス業の類になる。
派遣は労働、質屋やリサイクルは物品の引き取りと販売、信販は金の貸し出し、
100円ショップの労働者に至っては請負の労働であって物作りの分野には入らない。
何故、この様な現象が起こるのかを考えて見ると、売れるかどうかわからない商品を作るよりも
確実に売れるものを生産する、或いはサービスを提供する事で比較的、会社が安定した利益を得られる部分にある。
これは、某米国ソフト会社でも主軸とするソフト販売といったものからソフトレンタルやレンタルに関する
技術を提供する事で「売り切り」から「リースサービス」やパソコン初心者向けのメンテナンスサービス
の方向に転換している事が分かる。
例えば、業界で話題になったアクティべーション機能は将来、インターネットでソフトリースを行う時に
ユーザ認証を行う為の基礎技術的な実験に過ぎない、コンピュータソフトは今まで違法コピーが回っていた為に、
収益が安定しないという面を持っていたが、元からコピーが出来なければコピーが無くなり、
このレンタルの認証技術を他のソフト会社に提供する事で一定の利益を得るという公算だ。
今後、この様な類似したビジネススタンスが定着していくと私は感じる。
但し、派遣業に至っては衰退する可能性がある。
理由は技術力の保守を目的に、自社雇用を促進しなければならない状況に入っている為、
大手企業は今後、急いで組織再編を行い、技術力の必要な場所に置いていた派遣社員の解約、
又は欲しい派遣社員に対してヘッドハンティングを行う必要が出てくる。
加えて、今まで技術力の無い人間が派遣業界に入って仕事に失敗すると会社の信用を失い、
仕事が取れなくなるリスクが高くなる為、今後は派遣者の質が無ければこの業界では生きていけない。
質+αで今までの経験や新しい発想能力を持っている人で無ければならない。
例えば、ソフト開発でも技術研究でも完成の質を向上させる為に新しい別の見方を持っている人を
要求している場合が多い為、技術力だけでは生きて行けない。
若しくは、警備やサーバ管理の様な24時間監視する様な仕事やコールセンターの様な精神的にきつく、
社員を使って割に合わない部署は今後、派遣要員の増える傾向に出ると考えられる。
実際、最近は技術力の無い人間は精神的にも肉体的にも若さだけでやっていける様な仕事で
しかも人手が入らないので長期に及ぶ物が多い、或いは短期集中で現場を転々とする仕事が続く場合もある。
派遣業に入ってダメだと言われる理由に、若い内はこれで良いが歳を重ねる毎に他の職種への転職が困難になる。
転職が出来なかった者は当然ながら30代以降も単価は低いまま、その業界で体力や精神でカバー出来なくなると
何も技術力やノウハウを蓄積出来ない結果、出来る仕事が無くなってしまうのが現実の世界だ。
コールセンターを専門にする派遣が成り立つのは、現場に入って大抵は1〜2年くらいで精神的にボロボロに
なって辞めていくケースが多いからであって、それぞれに何かが成り立つには成り立つ為の理由や根拠が存在する。

企業が利益を獲得する為に今までの手法で通用が利かなくなるとすると、別の手法で企業戦略を
立てなければならない。
来年以降もまだまだ、景気は低迷を続けて一部の企業のみが利益を得る事になるだろう。
今後、利益を得る為には今までの正攻法ではなく、別の手法を考えていくクリエイティブ的な物が
組織維持にとっては必要になっていく。
それが出来るか出来ないかで企業組織は衰退するか伸びるの分かれ道になるだろう。
今まで、古い種族の重役が考えてきた様に「粗悪でも商品を取りあえず売って目先の利益を得る」という
手法は全く持って通用しない、会社の看板に傷をつけて悪循環を繰り返すだけだ。
これだけ物が豊富に出ている時代に、物が無い時代と同じ手法で通用する筈が無い。
高価でも相応した価値があれば消費者は支払う傾向がある。
逆に悪質商法の類やスパムといったものはビジネスとして今後、成り立たなくなるだろう。
但し条件として、一般的な認識と法的な措置が必要だ。
例えばスパムはスパムを流す事で広告したサイトのアクセスが得られるからスパム業者が存在
する訳であって広告効果が無ければスパム業者自体の存在が成り立たない。
又、スパム業者の流す広告内容の9割が詐欺、アダルト系や出会い系、薬物の違法売買や違法コピーソフトの販売だ。
頼んでもいない広告を勝手に押しつける会社に真っ当な会社である訳がない。
他にも懸賞系の広告で豪華賞品をエサに当選結果の報告などを理由にしてメールアドレスを書かせる所がある。
登録も何もしていないメジャー広告業者から送られる場合、その原因は豪華賞品をエサにした業者が
メジャー広告業者と契約を結んで得たアドレス情報をプログラムで自動登録によってばらまいている。
この類に引っかかると、ユーザはメジャー業者に対して一時的な解除は出来るが、
怪しい懸賞業者がユーザのアドレスが使えないと認識するまで、永遠に要らない広告が送られる。
これはある種、広告サービスでコンスタントな利益や実績を持続させる為にユーザを囲う手段である。
世の中、甘い話ほど臭い話が多い。
普通に考えて豪華懸賞をウリに出す業者は大抵、毎月同じ様なパターンで会社自体も
実態するかどうか良くわからないものが多い。
こういった悪質な業者に対しての認識をきちんと持ち、かつ法的に取り締まる事の出来る迅速な体制を国が作らなければならない。




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