知的AIはノイマン型コンピュータでの実現は可能か?
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 私達が現在、一般的に使っているパソコンや携帯電話などのIT機器は全てノイマンと言われるコンピュータだ。
実は残念ながらこのコンピュータに至っては理論的に公式的な結果は出ている。
ノイマン型コンピュータで知的AIを実現する事はほぼ不可能である。
仮に出来たとしても根本的に不向きな為、実用には至らないだろう。

 私達がAIと呼んでいる中には幾つかの種類がある。
大きく分けて知的AIと言われる学習能力などを備えたモノ、もう一つはファジーと言われる分野だ。
ファジーに至っては、今や家電製品の殆どがこの技術を利用していると言っても過言ではない。
実は、知的AIもこのファジー技術を元に構成しなければならない技術だ。

では何故、知的AIは実現できないのか。
それは人間の思考や発想といった分野が極めて複雑な処理を行なっている所にある。
ファジーは確かにあいまいさを定義する上で重要な技術ではあるが、現段階では特定の分野しか賄う事は出来ない。
例えば、家電製品のファジーには個々の分野での制御しか行えず、洗濯機に使うものとして
設計されたファジーに炊飯やトースタの制御を組んで理解させる事は出来ない。
理由は、ファジー制御そのものが人間の思考ルールと経験によって構築されているからだ。
ノイマン型には0と1といった情報しか制御が出来ない為、グレードと呼ばれる「あいまいさ」を表現するには
表現の細分化を行なう必要がある。
つまり、一つの項目に対して、条件定義を多重化して曖昧さのグレード幅を確保する訳だ。

 所で人間が持つ記憶などを制御する場所は海馬という所が蓄積をしている。
これは人間形成を行なう上で最も重要な脳で、この海馬によって人格形成が成り立っているといっても過言では無い。
又、この海馬そのものは人生経験によって形成される為、コピー人間を作る事は事実上、不可能である。
敢えて、深く掘り下げるならば例えて、クローン人間を作ったとしても事実上、
指紋を始めとして本人と全く同じ状態になる事はありえない訳です。
DNAが持つ情報は今、解明されている物は主に病気、人種、脳の発育といった部分のみであって、
経験によって作られると言われる、筋肉や指の皮の厚さ、特殊能力、記憶、経験などといった情報はクローンに
伝承することは出来ないとされている。
(脳の発育に関する遺伝は統計的に低いとされ、条件は父母の年齢と思考発想力の高い者と言われます。)
更に、人間の臓器自身には脳の役割が分散されているとも言われる。
良く、心臓の移植手術では一時的に臓器提供者の好みや性格などが乗り移る事があると報告されている。
これは血液を伝達する毛細血管の多い臓器に良く事例が報告されている事から、
最近の学説では人間の思考や記憶、好みといった仕組みは脳が処理を行なう一部分を
毛細血管の多い臓器が負担して脳と似た電気信号処理をしているのではないかと言われている。

と言う事は・・・纏めると、人間は特別な事が無い限りは生まれてからの経験次第で
その人の能力や人格などが全て作られていく事になる訳です。
(厳密には母胎の中でも母親の精神状態や外の音などの影響によって発育が違ってくると言われている。
例として、母親が極度な不安を抱えた状態で生まれた子供は性同一障害になりやすい事例が報告されている。)
簡単に感じるかもしれないが、これはデータ量としてはかなり膨大な蓄積量となる。
コンピュータでこれを単純に実現する事は現段階で可能である。
実用化された中の一つには受験用のコンピュータ学習システム(CAI)が相当する。
CAIは予め、膨大な問題を用意しておいてランダムに出題し、人間が答えられなかった所をチェックしていく。
苦手な分野と得意な分野を統計的に算出した上で、苦手な分野は得意分野と照らし合わせてその人の学力向上に
必要な基礎レベルまで下げて出題が反復されていく仕組みだ。
では、人間の様に喜怒哀楽や発想の転換、心というものをコンピュータで表現するには
膨大な条件文が必要になる訳で、一連の動作を全てデータの引き出しを行なったり書き込む動作を行なわなければならない。
人間の持つ、心や発想という処理プロセスは非常に複雑怪奇なもので記憶がある時点で消失したかと思えば
フラッシュバックとして蘇る事もあり、全く関係の無い事象を繋ぎ合わせて新しい発想を得るプロセスも
何を根拠に何を対象にしなければならないのか複雑怪奇そのものである。
こういった処理を分岐にしていくとほぼ、無限の分岐点を想定しなければならない。
この辺りは心理学を入門程度に勉強しただけでも十分に理解出来るだろう。
脳一つで処理が出来ないものを、たかがシリコンウエハーで出来た1チップで人間のまね事など出来る筈もない。
この無限分岐に適応し、期待されているのがニューロという人工AIに特化したコンピュータチップだ。
しかし、現実的には処理が複雑怪奇で実用化には程遠い。
或いは、この30年以上の歴史で積み重ねたノイマン型に新しいプログラミング手法と言語が生まれたのならば
もしかすると広く普及に至って単価の安いノイマン型の方がもどきだとしても早く実現出来るかもしれない。

 もし仮に、割り切った知的AIを実現させると仮定しよう。
一番、イメージが浮かび易い映画でいくと、少し古くなるが一作目の「ターミネータ」がこの部類に当たるかもしれない。
今日の映画業界では異色な程、個人的にはストーリー性、脚本設定において良く出来ていると感じた映画だ。
目的を指示され、その目的を達成させる為にあらゆる手段を使う。
こういったAIに至っては現段階の技術で、限りなく近いものは出来る。
その代表として注目を浴びているのが、医療分野で活躍を期待されているASIMOだ。
HONDAが十年くらい前から研究投資を続けているプロジェクトでもある。

AI技術が何処の境界まで必要なのかという所は曖昧だ。
故に、実用性としての問題を考慮した上で、実現の可否を判断するのは現時点では難しい。
それは実用なり試験なりでのレベルでの評価基準が存在しないからだ。
人類がこの先、AIロボットを実際に使っていく上でもしかすると、今のAI技術で
既に実用の基準を満たしているのかもしれない。
ロボットの役目は人間の代用であって、心理ストレスといった負の処理は必要無いのだから。





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